TOKYO AVATAR GATEでは、バーチャルファッションで活躍するクリエイターの厳選された商品を集めた「HIRAVA」のコーナーを設けています。
「バーチャル内の日常に寄り添うファッション」を中心に商品が集められ、商品の一部はTOKYO AVATAR GATEのワールド内にも展示される予定です。
そんな「HIRAVA」に参加するクリエイターがどういったショップなのか知りたいと思いませんか?
そこで、TOKYO AVATAR GATEとメタカル最前線のリレーコラボ企画として、2つの記事に渡って「HIRAVA」に参加するクリエイターの魅力や内面に迫っていきます。
第2回となる今回は、VRChat向け衣装ショップ『Add+Re:collection』を運営し、地雷系を中心にアバターの衣装を展開しているクリエイターのあどれちゃんにインタビュー。
前半のTOKYO AVATAR GATEで公開される内容では、あどれちゃんのチャレンジ精神あふれる原点をはじめ、彼女がいつかコラボしてみたい大好きなIPへの愛を語っていただきました。
後半の『メタカル最前線』で公開されるパートでは、ショップ運営5年目を迎えた今の心境や、衣装制作における苦労、そしてそこから生まれる喜びを伺っています。
前後編を通じて、彼女がモノづくりにおいて一体どこに喜びを見出すのか、そして多くの人を魅了する「カワイイ」衣装を支えるアイデンティティに迫ります。
お父さんをきっかけに衣装制作にチャレンジ
まずは『Add+Re:collection』をはじめたきっかけを聞きたいと思います。
お父さんがVRChatを見つけ、衣装の販売ができると聞いたのが最初でした。昔に別のメタバースで衣装を売っていた経験があって、お父さんは知っていたので「VRChatでもやってみたらどうか」と言われたのがきっかけですね。
ショップ名のほうはどういった由来なのでしょうか?
ぼくの名前は「あどれ」だし、お店の名前も『Add+Re:collection(あどれこれくしょん)』なんですけども、あどれ(adore)ってローマ字で書くと崇拝するという意味があって。そもそも「adore」という単語との出会いはK-POPアイドルの曲名で、「こういう言葉があるんだ」と知ったのがきっかけでした。
ショップ名に関しては、シンプルに『adore collection』とするのも考えたのですが、ブランドとしての個性を出すために少し言葉遊びを取り入れました。「付け加える」を意味する『add』と、「繰り返す」を意味する『re』の表記を組み合わせて『Add+Re:collection』にしたんです。ここには、みなさんの日常に大好きなものが少しずつ加えられていき、その素敵な日々が何度も繰り返されますようにという願いを込めています。
言葉遊びもあるネーミングだったんですね。衣装を手掛ける際に考えていることはありますか。
ぼくはファッションとして「地雷系」が大好きなんです。ただ、世間一般では「地雷系」と聞くと、メンヘラチックな、いわゆる"闇カワイイ"といったネガティブな印象を持つ方もいるかもしれません。でも、トレンドや着ている人の先入観を一度取り払って、服そのもののデザインだけを純粋に見たとき、本当にものすごくカワイイ洋服なんですよね。
だからこそぼくは、暴力的な表現やネガティブな要素は避けて、袖を通した人ができるだけ前向きな気持ちで、「自分が一番カワイイ!」と思えるような、ポジティブな衣装作りを目指しています。
お洋服はカワイイですが、その芯にあるスタンスはとてもヒロイックで格好いいです。そもそもそうした衣装やクリエイティブへの興味は、どこから湧いてきたのでしょうか?
衝撃的な出会いはありませんでしたね。ただお洋服自体はもともとおばあちゃんが洋裁をやっていて、小学校の頃はおばあちゃんがドレスを作ってくれたりとかして。そういう意味では、お洋服に興味を持ち始めたのは、おばあちゃんが手作りしてくれたからだと思います。
なるほど、クリエイティブな環境がとても身近にあったのですね。
家系が割とそういう人たちばかりかも。おばあちゃんは洋裁ができて、お父さんはロボットを作っていて、おじいちゃんは電気工学の分野で働いていて、お母さんは今編み物をやっています。デジタルからアナログまでありますね。
そう考えるとVRChatの中でアバターの洋服を作るのは、工学とファッションのサラブレッドみたいな交差点ですよね。
そうなんですよ、デジタルと洋裁がガッチャンコみたいなね。
それなら、お父様がVRChatでの衣装販売を勧めてくれたというのも、突飛な話ではなく自然な流れだったのですね。
そもそも、小学校に入る前から親がパソコンを与えてくれていたので。「会社に働きに行くより、自分で何かするほうが好きな子なんだな」というのを、親が昔から汲み取ってくれていて。自分で手に職を付けるわけじゃないですけど、衣装を作って売ってみたらという提案をしてくれましたし、別で行っているアイドル活動もそれで生計が立てられるならいいよねと応援してくれました。
最高の家庭環境ですね。そんな『Add+Re:collection』の面白いポイントは、早い段階から集会ワールドでユーザーとの交流イベントを主催したり、年に一度のクローズドで売上報告や施策を共有する「株主総会的なやつ」を開いたりと、ファンコミュニティとの距離が近い点だと思います。このあたりは何か狙いがあるのですか?
やっぱり目立ちたい部分もあるし、新しいこと、人と違ったことをできるだけやりたいと思っています。最近はショップが増えて、この業界に来て長くなってしまって、固定観念がついてきてしまって、新しいことができていないのですが、他にも今では定番のプレゼント企画も早いうちに取り入れたと思っています。
画像の衣装はVRChatで人気イベントとのコラボしたもの。コラボ回も実施し、あどれちゃん本人も接客として参加した
大好きなIPと作ってみたい衣装を語る
今後この作品の衣装を作ってみたいといったものはありますか。理由も含めて伺いたいです。
2つありますね。1つは一番大好きなアニメである『魔法少女まどか☆マギカ』。着たくないですか?魔法少女になってみたくないですか?やっぱり好きなのもあって、今までに2回魔法少女衣装を出したこともあって、やっぱりやってみたいなっていうのがありますね。
もう1個はホロライブが好きなので、ホロライブの何かに関われたらと思っています。やっぱりホロメンが着ている衣装ってめっちゃ可愛くて、色んな衣装を皆さん持っているのですが、自分も着てみたいなと思うデザインが多いし、VRChatのユーザーも好きなデザインも多いです。
推しとお揃いの衣装をバーチャルで着られるというのは、夢があります。
その衣装、「ピンクもカワイイけど、絶対青もカワイイよね」と思えるようなデザインなので、カラーバリエーションを展開して、みんなで着られたら嬉しいですよね。推しとおそろいみたいなのができるのも、なんかバーチャルっていいなと思います。
メンバーのイメージカラー以外にも、ユーザー自身の個性を出せるポテンシャルがあると。
VRChatのユーザーもみんなイメージカラーがあると思うので、推しと自分のカラーが別々の人もいると思いますし。それで、衣装は推しとお揃いだけど、自分のカラーで着れたら嬉しいじゃないかなって思ったり。
カラーバリエーションのイメージ。カラーバリエーションはショップ側はもちろん、ユーザー側で設定することもある
それは夢が広がりますね。
衣装をきっかけにIPを知ってもらえる人も、もしかしたら出てくるかもしれない。IPを取り扱う側としても、そういう流入は嬉しいんじゃないかなって思います。
確かに「元ネタは知らないけれど、デザインが素敵だから着ている」という古着のバンドTシャツのような感覚のユーザーも多そうですね。あどれちゃん的に、特に「これを作ってみたい!」という推しの衣装はありますか?
推しはさくらみこなのですが、その去年の年末に発表されたルームウェア衣装がめっちゃ可愛くて。色としては白赤なんですけど、白を基調にして赤の部分を別の色で使えたらめっちゃカワイイなと思っています。VRChatユーザーって寝間着好き、必需品じゃないですか。
確かに先ほど話した通り、カラーバリエーションを用意したら違いが映えそうですね。
ホロメンの衣装とかって、メンバー色が強すぎないのでみんな使いやすいなって。推しとお揃いできるのがオタクとしても嬉しいし、オタク以外も刺さるデザインが多いなとも思うので。
ルームウェアだけど、シンプルになりすぎず装飾を程よく盛っている感じで、ちょうどいいですよね。リアルになりすぎない塩梅を感じますね。
バーチャルチックな衣装って最近のVRChatの傾向では減りつつあると思うのですが、アバターの見た目的には絶対似合うバーチャルらしさがあるので、こういう路線の衣装も増えてほしいなと思いますね。VRChat内にもホロライブ好きが多そうなので、よろしくお願いします!
挑戦することは良いこと
今回はTOKYO AVATAR GATEに出展することになりましたが、出展に至った経緯はどういったものがありますか。
元々自分は新しいことを始めるのが好きなので、何にでも飛びつきたいです。以前、別のメタバースからVRChatに移住してきたことで、自分の人生がものすごく好転したという経験があるので、新しいプラットフォームに挑戦することは「ワクワクする、良いことだ」という大前提が自分の中にあります。
TOKYO AVATAR GATEの場合は、最初はふわっと参入したのですが参入後に意見交換回を実施してくれて、めちゃくちゃ好き勝手喋ったんですけど、自分もプラットフォームを一緒に作り上げている感じがしていて、TOKYO AVATAR GATEの良いところですね。
意見交換会では、具体的にどんなお話をされたのですか?
1~2時間ほどかけて、「どういう仕様にしたらクリエイターがやりやすいか」「こういう機能があれば他との強い差別化になるんじゃないか」といった提案を、かなり率直にぶつけました。提案した具体的な内容はまだ内緒なんですけど、もしこれが実装されたらユーザーとしても絶対に楽しい機能なので、いつか通るといいなとワクワクしています。
最後にですが、VRChatという場はIPにとってどのような活用ができると思いますか。
作品やキャラクターが主役だと思うので、クリエイターが前面に出る性質のものではないと思っています。それでも、自分が今までファンとして関わってきた大好きなIPと一緒にお仕事ができるなんて、普通に生きていたらあり得なかったことなので、クリエイターにとっては本当に夢や可能性が広がる素晴らしい場所だなと感じています。
ユーザー目線で見ても、推しと同じ衣装を着られるのはもちろん、例えば先日の『とある科学の超電磁砲』コラボの制服のように、「その世界のモブになれる」という楽しさもありますよね。そのキャラ自身になるのは自分の考えとは違うけど、モブとして同じ学校に通っている気分で写真を撮るのも楽しいなと思っています。色んな遊び方ができるかなと思います。
後編:メタカル最前線「衣装制作を続けて5年目 あどれちゃんが語る今の苦労と喜び」
※後編は7/6(月)18:00 公開予定。